理由を付した意見

りゆうをふしたいけん

理由を付した意見(avis motivé、mit Gründen versehene Stellungnahme)は、欧州諸共同体において、欧州委員会条約侵害手続の際に、条約侵害を行っている加盟国に対して送付する書面。実務においては、フランス語で「アヴィ・モティヴェ(avis motivé)」と呼ばれるのが一般的である。

条約侵害手続上、アヴィ・モティヴェが登場する場面は、三種類ある。

226条のアヴィ・モティヴェ

第一のものは、欧州委員会がイニシアティヴをとる条約侵害手続において、第二段階と位置づけられるものである。

この場合、当該加盟国がアヴィ・モティヴェに従わない場合には、欧州委員会は、欧州司法裁判所に訴訟を提起することができる。つまり、アヴィ・モティヴェへの不服従が訴訟要件となる。

詳しくは、欧州共同体条約226条を参照。

227条のアヴィ・モティヴェ

第二のものは、加盟国がイニシアティヴをとる条約侵害手続において、(数え方にもよるが)第三段階に位置付けられるものである。

原則として、このアヴィ・モティヴェが加盟国による訴訟提起に前置されなければならないが、例外として、欧州委員会が3か月以内にアヴィ・モティヴェを発しない場合には、アヴィ・モティヴェなしで訴訟を提起することが認められる。

詳しくは、欧州共同体条約227条を参照。

228条のアヴィ・モティヴェ

欧州司法裁判所に条約侵害の確認訴訟が提起され、訴えが認容されて確認判決が出された場合、それにもかかわらず、当該加盟国がさらに条約侵害をやめないときにも、アヴィ・モティヴェが出される。

当該加盟国がこのアヴィ・モティヴェに従わない場合には、欧州委員会は、再び欧州司法裁判所に訴訟を提起できる。加盟国がこの訴訟で敗訴した場合には、強制金などの金銭的な制裁が課せられることになる。

詳しくは、欧州共同体条約228条を参照。