連結政策

連結政策とは、国際私法規範の立法論において、特に複数の連結点(連結素)を定める場合に、これら相互の関係をどうするかという政策。これにより、法的効果の発生を容易にしたり難しくしたりできるので、立法政策の問題である。連結方法とも呼ばれる。

  1. 累積的連結(kumulative Anknüpfung):規定されたすべての連結点が充たされた場合に限り、法的効果を認めるという政策。複数の牴触規範を「かつ」の関係で結びつけるといってもよい。法的効果の発生を難しくする場合に用いられる。例えば、旧法例11条によれば、不法行為は事実発生地法(1項)と法廷地法(2項)の累積的連結とされていたが、これにより不法行為による損害賠償請求権の成立は単一連結に比べて難しくなるという効果が与えられていた(現在の法の適用に関する通則法17条は、結果発生地と加害行為地の段階的連結となっている)。
  2. 選択的連結(alternative Anknüpfung):規定されたいずれかの連結点が充たされる場合には、法的効果を認めるという政策。複数の牴触規範を「または」の関係で結びつけるといってもよい。法的効果の発生を容易にする場合に用いられる。嫡出関係や扶養関係などでは、なるべく法的効果を認めるのが子の福祉に叶うので、このような連結政策がとられる。
  3. 配分的連結(distributive Anknüpfung):複数人の法律関係につき、それぞれの人についてそれぞれの連結点を適用するという政策。当事者相互の法的効果が異なっても構わない場合に用いられる。
  4. 段階的連結(Kaskadenanknüpfung):複数人の法律関係につき、いくつかの連結点を順序づけて用意しておき、順序にしたがって検討し、当事者の連結点に一致が見られた場合に、その連結点を適用するという政策。当事者相互の法的効果が一致させたい場合に用いられる。