規則

規則(〔独〕フェアオルドヌング(Verordnung)、〔仏〕レグルマン(règlement)、〔英〕レギュレイション(regulation))は、欧州諸共同体における法形式の一つ。共同体規則とも呼ばれる。加盟国において直接効果を持ち、加盟国立法機関の転換行為を必要としない。このため、EU内の規制を完全に一致させる必要がある場合に多く用いられる。そのほか、機関が自らに関する規範定立を行う場合にも用いられる。

訳語

法形式の体系をドイツ法から摂取したわが国にとっては、「フェアオルドヌング(Verordnung)」は本来「命令」と訳すべき語であった。それが、なぜ「規則」と訳されたのかは謎である。共同体法の「Verordnung」は、ドイツ国内法における「Verordnung」とは異質のものであるという警鐘を鳴らすためであった可能性もあるし、単にフランス語の「règlement」ないし英語の「regulation」に引きずられただけである可能性もある。

いずれにせよ、わが国の法体系における「規則」とは性格の異なるものであり、この点、きわめて注意を要する。

もっとも、現時点においては、共同体法の「Verordnung」は、「命令」と呼ぶのがきわめて似つかわしくない内実を伴っているが、欧州憲法条約が施行後は、EU法の法形式はドイツとわが国の法形式の体系にきわめて近いものに整備されるため、少なくとも、同条約施行により導入される「Europäische Verordnung」については、「欧州命令」と訳すべきである。

展望

欧州憲法条約により、これまで規則が担っていた役割は、欧州法律欧州命令に引き継がれる。