ラッティ事件判決
Ratti
ラッティ事件判決は、欧州司法裁判所の判例の一つ。欧州司法裁判所1979年4月5日判決。事件番号1978年148号。判例集1979年1629頁。
事案
ニスと溶剤に関する共同体指令1973年173号及び1977年728号に違反したイタリアの法律(1963年3月5日法律245号)に違反した罪で刑事起訴されたトゥッリオ・ラッティ(Tullio Ratti)の事件について、事件を担当したミラノ下級裁判所(Pretura)が欧州司法裁判所に先決(Vorabentscheidung)を求めた事案である。
判決の意義
この判決の意義は、次の二点にある:
- 指令の直接適用可能性を認めたこと
- 指令の直接適用の要件を明らかにしたこと
この判例によれば、指令の直接適用の要件は、
- 転換期限が徒過していること(直接適用の必要性)
- 個人に対して有利な規定であること(直接適用の許容性。指令は国家に対して義務を課するものであるから、義務を怠った国家の側に有利に働くように直接適用するのは筋違いである)
- 規定が無条件で十分に明確であること(直接適用の許容性・可能性)
の三つであるとされた。