パウル・キルヒホーフ

Paul Kirchhof

パウル・キルヒホーフは、ドイツの法学者。男性。カトリック教徒。法学博士。大学教授。専門は租税法・財政法。1987年から1999年まで連邦憲法裁判所判事をつとめ、独自の解釈に基き主に租税案件でイニシアティヴを発揮した。この間、ヨーゼフ・イーゼンゼーとともに、現在もっとも詳細な国法体系書である『ドイツ連邦共和国国法ハンドブック(Handbuch des Staatsrechts der Budesrepublik Deutschland)』全十巻を編纂。2005年にキリスト教民主同盟(CDU)のアンゲラ・メルケル連邦首相候補から「専門チーム(Kompetenzteam)」のメンバーに指名され、実質的な財務大臣候補となる。政党には所属していない。

租税制度の簡素化を主張し、付加価値税25パーセント(現在は16パーセント)を主軸とした簡素な税制を提唱する。付加価値税は我が国の消費税に相当し、税負担は最終的には消費者にすべて転嫁されるので、企業の負担は(事務コストを除けば)ゼロとなる。つまり、付加価値税を増税し、その他の分野で減税を行う場合には、企業に有利な税制となるため、キルヒホーフの構想は、企業から歓迎されている。

もっとも、CDUの税制公約はキルヒホーフの構想ほどラディカルなものではなく、付加価値税の増税は2パーセントにとどまる。しかし、キルヒホーフが財務大臣に就任した場合には、キルヒホーフの構想は大きな影響力をもつことになると見られている。アンゲラ・メルケル候補も、キルヒホーフの構想を将来的な方向性として認容する発言をしている。

《著書》

  1. Der Staat - Eine Erneuerungsaufgabe
  2. Der sanfte Verlust der Freiheit. Für ein neues Steuerrecht - klar, verständlich, gerecht.
  3. Karlsruher Entwurf zur Reform des Einkommensteuergesetzes
  4. Gemeinwohl und Wettbewerb
  5. Der Staat als Garant und Gegner der Freiheit
  6. Handbuch des Staatsrechts. Band I: Grundlagen von Staat und Verfassung