コスタ対E.N.E.L.事件判決

コスタ対E.N.E.L.事件判決は、フラミニオ・コスタ(Flaminio Costa)対「E.N.E.L.」(Ente nazionale Energia elettrica impresa già della Edisonvolta)事件(事件番号1964年6号)に関する、欧州司法裁判所1964年7月15日判決(判例集1964年1141頁)の通称。

国内法に対する共同体法の優越(Vorrang)を宣言した判決として名高い。この優先劣後関係は上下関係であるから、たとい国内法が後法だったとしても、これに対して共同体法は優越する。

理論的には、国内裁判所における共同体法の適用可能性が問題となれば、共同体法と国内法の優先劣後関係が問題となることは必定であったわけであるが、この判決が1963年のファン・ヘント・エン・ロース事件判決のわずか一年数ヶ月後になされたことは、興味深い。

のちに、1970年の国際商業会社事件判決で、共同体法規範が国内憲法規範に対しても優越することが闡明されることになる。