グレトナ・グリーン婚

グレトナ・グリーン婚(〔英〕Gretna Green marriage)とは、かつて、イングランドとの国境近くのスコットランド南部の村グレトナ・グリーンにおいて行われた婚姻。いわゆる法律回避の事例として有名。

当時、イングランド法においては、婚姻の成立要件として父母の同意及びイギリス国教会の儀式(1753年ハードウィック卿法により、婚姻予告掲示及び婚姻許可証取得が要求された)を要求していたため、男女がお互いに愛し合っていても、父母の同意が得られない等の事情がある場合には婚姻ができなかった。ところが、スコットランド法によれば、当事者の合意のみが婚姻の成立要件とされていた(しかも、男性14歳・女性12歳から婚姻可能であった)。そこで、前述のような事情のある男女は、スコットランドのグレトナ・グリーンに駆け込み、そこで結婚式を挙げることが行われた。

なぜそうしたかというと、当時、イングランド法では婚姻については(実質と方式の区別なく)一括して婚姻挙行地法(〔羅〕lex loci celebrationis)が適用されるとしていたため、このようなスコットランド法に基く婚姻でも、イングランドにおいて有効な婚姻と認められたからである。